書評

お姫さま養成講座…愛される女性になりたいあなたへの書評・感想

 

 

仕草はお下品、言葉遣いは乱暴、明るく元気だけど飽きっぽくて慌てん坊。

そんな29歳のダメOL姫子とともに、「すべての人から尊敬されるお姫さま」になるためのテーブルマナーや社交術を学ぶことができるコミックエッセイです。

 

原作は、作品中にも先生として登場する食卓芸術界のパイオニア・今田美奈子先生

今田美奈子先生は日本の完全なる上流階級の生まれ(社長令嬢です)であり、ご両親から自尊心を育むための教育を施されて成長しました。

そして育児が一段落した三十代半ばでスイスへ渡り、お菓子の歴史や作り方を通して学んだことをプロトコル・マナーに昇華させます。

そしてその結果、日本のみならず本場フランスでも認められる存在となった方なのです。

 

そんな、私のような下々の者とはスタートラインが違うような方が書いたエッセイから、私がいったい何を学んだのか?

備忘録も兼ねてまとめていきたいと思います。

 

※先に申し上げておきますが、私は本書を絶賛しており是非読んでいただきたいと思っています。

 

愛されて幸福になるプリンセスレッスン…女性向け自己愛の入門書! 世界一!愛されて幸福(しあわせ)になる魔法のプリンセスレッスン―ときめきの風に運ばれて、ここからすべてがうまくい...

 

この漫画は実用的なマナー本ではない

 

見出しを見て、「えっ?」と思った方は多いでしょう。

実際、このコミックエッセイの帯には、こう書かれています。

 

超本物のマナーと知識が身につく豪華コミックエッセイ!
いつのまにか本物の知識が身につくマイフェアレディストーリー!

 

確かに本書には、今田美奈子先生がフランスで学んだ本場のテーブルマナーや礼儀作法が、コミックの形でわかりやすく書かれています。

ドアの開け方やイスの座り方に始まり、挨拶の仕方やパーティでのドレスコードなど、内容も多岐に渡る充実ぶり。

その真偽については私には確認のしようがないため置いておくとして、なぜ書かれているマナーが我々にとって実用的なものではないのか、順次説明していきます。

 

描かれているマナーを発揮する場が身近にない

 

本書はそもそものコンセプトとして、「国際的なマナー」を紹介することを第一としています。

よって、テーブルマナーも海外のパーティに招待された場合を想定してお箸ではなくナイフとフォークであり、ドアの開け方もエスコートをしてくれる男性がいることが前提となっています。

 

しかし、そんなパーティが身近で開催される環境にいる人が、今の日本にどの程度いるでしょうか。

 

少なくとも私はお呼ばれしたことはありませんし、男性にドアを開けてもらいエレガントにお礼を言った経験もありません。

自宅で6の倍数のお客様を招いてお茶会を開いたこともありませんし、「どんな様式がお好みですか?」と尋ねてくれるフランス人と会ったこともありません。(「ネオクラシックです。」と回答するのが正解だそうです。)

本書で紹介されているマナーは、どれもこれも庶民とは無縁のものばかりなのです。

 

本当にお姫さまになれるのかな?と、わくわくしながら本書を手に取った女性の中には、今の自分と余りにかけ離れた世界での話を目にしてガックリ来てしまう人もいるかもしれません。

実際私も初めて読んだときは、「29歳のダメOLがドレスコードのあるパーティに呼ばれるものか……」と、少し苦々しく思いもしました。

 

偶然出会った王子様に見初められると本気で信じる人はいない

 

「庶民とは無縁のマナーである」という意見への一応の反論として、本書の中にこのような台詞があります。

 

「今は国際的な時代ですから いかなる国のどんな方と出会うかわからない……(中略)
つまりあなたがそれなりの素材、人間であったら チャンスを生かして本物の「お姫さま」になれるというわけ」

 

……。

この話、本気で信じる人いますか?

 

確かにそのようなシンデレラストーリーを経て、文字通りのお姫さまになった人は存在するでしょう。

そして「だったら私も!」と思えるほどポジティブさに溢れた女性がいるなら、それはそれで素晴らしいことだとは思います。

 

私は容姿に自信がありませんので、本書のこの台詞を読んだときは「ハハッ」と乾いた笑いが漏れただけでした。

 

大事なのは「Chapter1.お姫さまになるために必要なこと」だけ

 

今更ですが、私は本書を批判したいわけではありません。

むしろ買って良かったと強く思っていて、皆さんにも是非読んでいただきたいと思い、書評を書いています。

今までさんざんこき下ろしてきたじゃないか!と言われそうですが、私が本書においてもっとも重要視しているのは、テーブルマナーについてでもお茶会の開き方についてでもありません。

「Chapter1.お姫さまになるために必要なこと」のみなのです。

 

「精神的な強さ」は誰にでも当てはまる

 

このChapter1には、お姫さまになるために必要な要素として、以下の5つが解説されています。

 

  • エレガントである
  • 強い信念の持ち主である
  • リーダーとしての責任を持っている
  • 人の気持ちを考えることができる
  • 人に影響を与える存在である

 

これらはいずれも精神的な強さであり、これこそが本書のターゲットである29歳のダメOLに必要な要素なのです。

 

この章の先生の台詞にこんな言葉があります。

 

「世の中に「美しい」といわれるものはどこにでもありますが
それは姿形の美しさのこと
一方「エレガント」とは 内面からにじみ出る美しさ……
姿形の「美しさ」よりも 「エレガント」であることが重視されるの」

 

自分の容姿に自信を持てない私が、この言葉にどれほど救われたことか。

見た目を恥じて俯いてばかりいた私は、この言葉のおかげで人の目を見て話せるようになったのです。

 

イスに座る姿が美しかったとしても、人の悪口を言いふらす女はダメ女です。

持っている食器がシンプルで洗練されたものだったとしても、人の話を聞かずに一方的にまくしたてる女はダメ女です。

この章に書かれていることのみが、現代を生きる庶民の我々にも当てはまり、かつ何よりも不足している要素なのです。

 

他の章はモチベーションアップのための添え物

 

では、その他の章はすべて夢物語のこととして読み流せばよいのでしょうか。

それでは本書をフル活用しているとは言えません。

 

Chapter3以降(2は今田美奈子先生の半生について書かれた章です。)のマナーについての記述は、日常の中に小さく取り入れることで真価を発揮します。

細かいマナーを正しく守ることで、「お姫さま」である自分のイメージを自分の中でより鮮明に維持することができるようになるのです。

 

5つの要素を兼ね揃えた女性、すなわち「お姫さま」となるのは決して楽な道ではありません。

あまりにも理不尽なことをされれば、精神的な強さなどそっちのけで物に八つ当たりしたくなるときもあるでしょう。

本書の内容をすっかり忘れて生活を続け、ふと思い出したときに「ああ、もういいや、忘れちゃってたし」なんて無かったことにしてしまう人もいるでしょう。

 

そんなとき、なんとなくイスに座るときに背もたれに寄りかからないようにしてみたり、お辞儀の角度を45度にしてみる。

それだけで少しだけ自分が理想の「お姫さま」と重なって見え、「もうちょっとだけがんばろうかな」と思うことができるのです。

言ってしまえば自己陶酔の世界ですが、思い込みの力は侮れないものです。

 

もちろん、周囲の人がマナーの正しさについて理解している必要はありません。

自分の中で自分が正しいことをしっかりと知っていれば、それでじゅうぶん。

 

繰り返しますが、本書のいう「お姫さま」は、一朝一夕でなれるものではありません。

その道を歩き続けるモチベーションを維持するために、細かなマナーをできる範囲で実施していけば良いのです。

 

【まとめ】自分に自信をつけたい人は読んで損なし

 

自分に自信のない女性にとって、本書をどのように活用すれば効果的なのか、なんとなくでもわかってもらえたら嬉しいです。

見た目にコンプレックスのある方で、「もう少し自分に自信を持ちたいな…」と、ちらっとでも考えたことがあるのであれば、是非本書を一度読んでみてください。

理想の自分になるためのヒントが、きっとたくさん見つかると思います。

 

最後に、本書の中で私が一番好きな言葉で、この記事を締めくくります。

 

さあ、あなたの心の奥に王国を築き、そこのヒロインのお姫さまになりましょう。
幸せで豊かな人生のために、お姫さまとしての自分磨きをいたしましょう。
私たちの永遠の憧れの夢の実現に向けて、素敵な旅の始まりです。